こゝろ

あなたのその私のことを大事にしようと論理的に倫理的に一生懸命に頭を使う行為が私を傷つけているのだとわかって。感情的になって自らの欲にまみれて私に触れることを畏れて、肉欲だとか人間らしい浅ましさからくるものを憎んで、私への恋はもっと極上の精神的な、プラトニックな、感情にして、私を、女を馬鹿なものだとしているのに、大切に傷つけないように、まっさらなものであるように、壊れてしまうもののように思うの。頭のいいあなただから、気が回ってしまうのね。私をあなたの思うままにしてしまうことを畏れるのね。そういう存在を私に求めているのね。私が泣くときに、ハンカチでふいてくれなくても、自らの不甲斐無さに肩を落とさなくても、詫びの言葉なんかも、いらなかったの。ただ強く私を抱きしめてくれるだけでよかったの。ひとりでいかないで、あなたがのぞむなら、いっしょにいったのに、きてくれって、いったら、いったのに、私の、未来なんか、馬鹿な女の、生きる、さきなんか、うばってしまってよかったの、私を、傷つけなかったあなたが、さみしい。あなたをうけとめられなかった、私が、さみしい。あなたのしんぞうがほしい