涙子

るい子は毎日泣いていたので、涙とかいて涙子になった。大人になった涙子の目からこぼれる涙をみたひとは誰もいなかったけど、涙子は心の中でいつも、上手にぽろぽろと涙をこぼしていた。あんまり上手に心の中で泣くもんで、現実に涙をながすことなんてもうずいぶんなかった。