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「せかいをじぶんひとりでかんけつさせているみたいだ」スーパーで閉店間際にやすくなったもやしを9円でかっていただけなのに。ばからしい、やすく野菜を買って、自分のためにていねいにごはんをつくって、健康的な生活をいとなんで、それが「むなしくならないの」、なんて、しつれいだ。ひとりがすきなわけじゃないし、ちゃんと友達もいて、遊んで、だけど自分の時間を大切にしているだけじゃない。不規則な生活を繰り返して、不健康に自分のことを壊して、だらしなく恋愛をつづけて、ひとりはさびしいのだと、孤独をかみしめて煙草をすって、夜は眠れなくて、そんな生活をするから、すきまができて、むなしいだなんて、おもうんだ。私は花屋の仕事が好きだし、趣味で続けるマラソンのために、朝のジョギングもけっこう続けているし、どれだけ安いものが買えるかチラシをチェックするのもすきだし、友達とご飯をたべにでかけて、夜はお酒をのんだり、私のことをすきだといってくれた男の子と、たまにいっしょに寝たり。でもわたし、まいにちかかってくる電話とか、どこでなにしてたのかとかを把握されるなんてまっぴらで、寝不足になるまで遊び呆けていたくないし、長い休みには世界遺産をみにいきたいし、面白い本や、写真集はわたしを飽きさせない。たまには両親にあいにいくし、ご飯の腕もあがってる。ベランダでそだてる花は元気にそだっているし、最近は髪をきってくれたお兄さんとごはんもたべにいったのよ。それで、最近わたしの花屋で、花を買った男の子が、よく来るようになって、ちょっとはなしたりもして、そして、きょう、いま、もやしを買っていたら、たまたまでくわして、そういうんだ。「さみしくないの」って。なにもしらないくせにね。