そう、むねがうっ、てなったら。そうだよ、うんとふかくいきをすいこむんだ。わかるかい。ここはうみのそこよりも、ふかあくて、きれいだ。みえるかい。ゆらゆら、しんからつめたいゆびさきにふれる、かすかなあたたかいひかり。しんとした、よるのびろうど。かぜになみうってる。こわいかい。さんごのように、しんでしまうのが、こわいかい。こわいかい。こわいかい。どこかぼうっとして、なにもかんがえられないんだ。このままじゃいけないってことだけはわかっているのだけど。のどがかわく。とてもとても、のどがかわいているんだ。ねえ、きょうはとてもさむいね。ここは、つめたくて、くるしくて、うつくしいよ。ねえ。むねがとてもいたい。ほしがまたたくのを、にじむまでみつめても、こわいかい。ここは、うみよりも、いきぐるしい。なまあたたかい地下鉄のなかで、かみのけが唇にはりつくのも、かまわずにマフラーに顔をうずめて、たちつづけることに必死だった。なにもしないで、ただなにかをまつ、毎日に失望するふりをして、自分への期待を募らせる。どうだい。いきをすえるかい。ねえ、こわいかい。こわいかい。とてもこわい。キスをしようか。めがさめればいいのだけど