フィクション

きみはやさしい
ねえもっと
媚びためをして
ぼくをちっとも
すきじゃなくっても
いいの、こころを
いためなくっても


傘を電車の中に忘れたのだと気づいた。駅の出口で雨がやむのをまっていた。あまり強くないけれど、家に帰るまでに全身がびっしょりになることはわかる。どうしようかと迷った末に、少しかけるようにして雨の中に出た。
人通りのない道をかける。雨が顔にあたってすこしきもちがいい。コンタクトをした目に雨がしみ込んで、少ししみた。水たまりをかけるとはねた。全身がしっとりするのを感じた。かけだす熱をもてあます、からだをひやしていく。前髪がひたいにはりつく。コンタクトがはがれそうになってめをとじた。

雨のしずくか、コンタクトがずれただけなのか、それとも

あなたが帰った後に、きっとわざと置いてった、煙草を吸った。キスの味なんかちっともしない、苦くて辛いメンソール

コンタクトを片方だけ外してみるとめまいがする。片方の目だけから涙が出て、面白いからそのままにしてたら、なんでないてるの?!ってすごく驚かれて、いや、コンタクトがいたくて、っていったら、コンタクトでそんな泣く人いないよって笑って、涙をティッシュですいとった。幸せだと思った。

深夜GEOにいった。(TSUTAYAがない)なんとなくのれんをくぐってみた。中学の同級生(男子)にあった。こんなにきまずいおもいをしたのは初めてだ。
GEOの前の自動販売機でコーラを買っておたがいさっきのことにあまり触れないように、ひさしぶりだねー最近どうなのって話した。私はヘアスプレーとシンプソンズを借りた。彼はのれんの中のDVDをかりた。(結局)女子高生ものだった。なんかだめだとおもった。彼女はいるらしかった。
なんとなく彼の家に行った。シンプソンズをいっしょに見た。うけた。少し寝てたら起こされて、のれんのなかのDVDをみた。変な空気になるのはわかっていた。そのまま流れる。ああ、こんなもんなんだなあ。眼を閉じたとき、片方の目から涙が出た。制服きてとかいわれなくてよかった。

ほんとうにすきだったよ。あなたがわたしをいちばんじゃなくても、すきでいてくれて、うれしかったよ。
今日のキスは苦くて辛いね。

雨に濡れてたのしくなって歌ってたら変質者だとおもわれた…?ちょうよけられた。びしょびしょで帰ってあついシャワーをあびて、ごはんをたべた。おかわりもした。いいぐあいにぼんやりして、ぐっすり寝た。

さよなら