リスペクトーのインスパイヤーのオマージュのサンプリングという名の
始発電車
あなたのゆたかな黒色の瞳が
じゅん、と夜明けのみずをふくむ
ふちどりを濃くきちんとはえた
みじかくふといまつげがふるえ
青白くひかるそのまぶたの
ほそい血管に赤味がさした
あなたのあざやかな黒色の瞳が
つめたい空気をたっぷりとふくむ
球体になろうととどまる涙は
自分の質量に耐えかね
ぷっつとそのかたちをこわし
あなたの頬はしとどになった
夜明けの冷えた空気の中に
あなたからゆいいつ熱がわく
あなたのとかしたこころの出口
ゆたかであざやかな黒色の瞳は
電車のすすむ方向を
ただひたすらににらみつける