台風

風の強い日の夜はどこか心細く、切り離された世界で取り残されたようだ。
そういう時に見る、夢があるんだ。


ちゃんとそういう風に、できているじゃないか
ただしさが、悪に立ち向かう正義が、世界をより良くするために奔走する、熱き青年たちが、心のまっすぐな頭のいい人が、歪んだ世界をなおそうと、奔走するエネルギーの
根源を考えたことがあるか、君たちが熱く、あつく、生きる、希望の尊さの理由を知っているのか
ちゃんとそういうふうに、歪にしてあるのだから、と、そういう風に、直したんだよと、彼は笑うのだ。

まあ言ってもわからないかと失望されながら、もとより期待もなかったかも知れないけれど、彼は、
ひとりで空っぽの敵の本拠地に、たたずむ。
誰も、誰もいないのか。
敵は、僕たちを苦しめて贅をつくす、悪の組織は、もう、
いないのか。
彼が、僕たちの、人類の、敵でさえも、なかったのか。