都合のいい夢

君が立っていて、そこまでいこうとしたら、からだはうごくのに、きみとの距離はいっこうにちぢまらなかった
君はほほえんでいた
君に向かって叫んだけれど、自分の声は喉もとで消えていくみたいで、音は耳に入らなかった
君にも聞こえていないかもしれない、だって、口元はほほえみをたもったままで、ねえ、よくみえないよ。きみは、どこへいくの
そんなところでひとりで、さびしいでしょう?どこまでいくの?ねえ、ずっと、きみといっしょにいくよ。ひとりにしないで。
声にならない声を、叫んでも、きみは、ほほえんでいた
きみは、さびしくないの?
ひとりでいいの?
僕をひとりにするの?
きみはしつもんにはこたえないで、ただほほえんでいた
もしかしたらすこし泣いていた

そこで目が覚めた
白い天井がみえて、寝返りをうって横を向いたら、涙が耳まで届いた
僕の質問への答えは、もうないのだ。